連邦議会下院で銃規制を強化する法案に関する公聴会が行われ、テキサス州で起きた小学校銃乱射事件の犠牲者の家族や地元の医師が証言しました。(証言には衝撃的な内容が含まれていますのでご注意ください。)
8日水曜日、議会下院の公聴会で、テキサス州の小学校銃乱射事件で死亡したレキシ―・ルビオさん10歳の両親がオンラインで証言し、銃規制の強化を訴えました。
レキシ―さんの母親は「レキシ―は優等生として表彰され オールAの成績でした。表彰式の最後に娘と一緒に写真を撮りました。それが娘の最後の写真です。10時54分ごろでした。お祝いにアイスクリームを買う約束をしていました。」と語りました。 その約30分後、銃乱射事件が起きました。レキシ―さんの母親は「しばらくして、娘も銃乱射で犠牲となった21人の1人だと知りました。娘は犠牲者の1人という数字ではありません。賢くて、思いやりがあり、活発で、少し恥ずかしがりやな女の子でした。これはレキシ―の声として聞いてください。私たちは、殺傷能力の高いライフル銃と大容量弾倉の禁止を求めます。」 と訴えました。
事件の起きた教室にいた11歳のミア・セリオさんは、教師や友人が目の前で撃たれたときの惨状について証言しました。 「男が隣にいた友達を撃ちました。戻って来ると思ったので友達の血を自分に塗りました。(その後、どうしたのですか?) 息を潜めて、先生の携帯を拾って緊急通報しました。(なんと通報したのですか?)教室に警察を呼んで助けてくださいと言いました。」
事件が起きた小学校のあるテキサス州ユバルディで唯一の小児科医は、犠牲となった子供たちの成長を幼い頃から見守ってきました。小児科医 ロイ・グレロ医師は「児童2人は銃撃で体がずたずたになり、首が取れて肉は飛び散っていました。身元を確認する手がかりは、血が付いたアニメ柄の洋服だけでした。」と惨状を語りました。自身も銃を保有しているという医師は「罪のない子供たちが犠牲になるのは、ビールさえ買えない年齢でも銃を買えるからです。」と銃の規制強化を訴えました。
共和党から呼ばれた証人のルク リシア・ヒューズさんは、19歳の息子を 銃撃事件で亡くしましたが、 銃が問題ではないと主張し「銃規制を強化する法案は私たちを安全にし、精神疾患の問題に対処するものではありません。私たちには暴力から身を守る権利があります。」と証言しました。
下院監視委員会は、アメリカと 他の先進国を比較し、銃が問題だと主張しました。民主党 キャロライン・マロニー下院議員「2019年の銃による死亡者数をG7の国で比較すると、アメリカは2番目に多い国の17倍です。2009~2018年でアメリカでは288件も 学校での銃撃事件がありました。他のG7は各国合わせてたった5件です。アメリカでは銃を容易に入手できるからです。」
公聴会後、共和党議員がABCニュースの取材に応じました。ABCニュース記者の「証言を聞いて法案を指示しますか?」と言う質問に対し、共和党バイロン・ドナルズ下院議員は「証言は悲惨な内容でしたが 法案は支持しません。購入できる年齢の18歳から21歳への引き上げは、19歳や20歳の憲法上の権利を奪うことになります。」と答えました。
8日夜、議会下院では、銃規制の強化に関する法案を超党派で可決。5人の共和党議員が賛成票を投じました。法案には、半自動式ライフル銃と散弾銃(ショットガン)を購入できる年齢を18歳から21歳に引き上げる。大容量の弾倉の禁止、ゴーストガンと呼ばれる銃の組み立てキットの禁止などが盛り込まれています。
議会上院では、身元調査の強化、危険と判断された人物が銃を入手できなくするレッドフラッグ法への支援、精神疾患の問題への対処、学校の保安強化などについて超党派の議論が進められていますが、半自動式ライフル銃を購入できる年齢の引き上げや殺傷能力の高い銃の禁止は含まれていません。上院で銃規制の法案が通過する見込みは、いまのところないとされています。
各州では独自に銃規制や保安強化を進めていて、ニューヨーク州では6日金曜日、ホークル知事が半自動式銃を購入できる年齢を21歳に引き上げるなどの銃規制法案に署名しました。一方、オハイオ州では教職員が校内で銃を携帯できるよう、法の整備を進めています。